プログラミング教育

未来は変わる

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最近のニュースで「ICT」「AI」あるいは「5G」や「ロボット」などの言葉を見ない日はありませんが、さてこれらの先端技術は私達の未来を、どのように変えていくものなのでしょうか?

残念ながら私には、それを合理的に予測するための知識も知見もなく、専門家の方々などによる「未来予想図」に、「なるほど」と頷いたり「いくらなんでも、それは違うと思いますけど」などと反応するぐらいのことしかできません。
では過去になされた未来予想はどんな感じだったのかなと思い、ネットでサラッと見てみました。
もちろん結構当たっているものから、滅亡するぞというノストラダムス的なものまで幅広く無数に存在しているようですが、中でも正答率が高いと評判だったのは、堺屋太一氏とビルゲイツ氏のようです。
堺屋氏は1998年に「平成30年」という本を出版され、その中で平成28年に出生数が100万人を割ること、地方や郊外のニュータウンでは過疎化やゴーストタウン化が進むことを言い当てておられますし、当時は「自動車電話」と言われていた「移動体通信」についても「軽量化が進み、テレビ電話、カメラ、動画通信、データ検索など多様な機能を備える」と現在のスマホ時代を見通しておられます。
因みに携帯電話の黎明期は、巨大な肩掛け型のバッテリーが必要であったため、携帯電話を使用する企業トップの方にはそのバッテリーを持つための、お付きの人が必要であったようですので、その時代に動画通信や検索機能を言い当てるとはさすがです。
ビルゲイツ氏の方は1995年に書かれた「ビルゲイツ 未来を語る」の中で、「ポケットサイズになるコンピュータ」つまりスマホのことや、クラウドサービスについても言い当てておられ、こちらもやはりさすがです。
これに対して1989年に公開された映画「バック・ツウ・ザ・フューチャー2」では携帯電話やスマホ、インターネットやSNSなどは一切登場せず、その代わりにファクスが何台も動いて紙を排出しているシーンがありました。
真面目な本と娯楽映画を比較しても意味はありませんが、やはり単なる夢や憶測ではなく、人口動態という比較的実現精度の高い情報をベースにした分析や、技術の進展を正確に見通せる人が行った予測なんかは、結構当たるんだなあという印象です。

別に未来予測が今回のテーマではないのですが、ウロウロと寄り道をしているうちに、今度は東レ経営研究所のチーフエコノミストである、増田貴司氏が書かれた「私たちを取り巻く環境は平成の30年でどう変わったか」という記事にたどり着きました。
「経営センサー」という書物の創刊20周年特別企画での寄稿で、標題の通り平成という時代に何がどのように変わったのかを、たいへんわかりやすくまとめておられます。
改めて振り返ると平成元年は、ベルリンの壁が崩壊し、天安門事件が起き、消費税3%がスタートし、バブル経済の沸騰の中で日経平均株価が38,957円の史上最高値を記録するなどの出来事があり、まさに大変動の中で平成という時代がスタートしたことが思い起こされます。
そしてまずビジネスの面での変化としては、それまでは先進諸国内でのやり取りが主戦場であったものが、平成という時代の間に新興国とのやり取りが主戦場に変わりました。
次に製造業のビジネス環境としては、「ITの発達とデジタル化の進展を受けて、ものづくりへの参入ハードルが下がり、キャッチアップが容易になったため、日本メーカーが世界に先駆けて高付加価値製品を開発しても、すぐに後発の新興国企業等がそれを模倣した製品を安く大量生産できるようになった結果、従来型のモノ単品売りの高付加価値路線の戦略がうまく機能しなくなり、技術で勝って事業で負けるパターンに陥るケースが増えてきた」と増田氏は述べておられますが、正にその通りであると思います。
また製造業の競争軸は、2000年頃までは従来路線である高品質・低価格生産の技術開発であったのに対し、デジタル革命が始まったそれ以降は「モノを介した顧客価値の提供全般に変化し、製品単体ではなく複数の製品・サービスの組み合わせで新たな価値を生み出す時代が到来しつつある」としておられます。
さて、これらの変化の中で我が国がどのように対応できたのかという点については、「デジタル技術を活用して組織やビジネスの自己改革、事業の再定義に取り組む動きは諸外国に比べて鈍く、旧態依然とした規制が邪魔をして新市場の成長が妨げられている」と述べておられます。
これは電子マネーを一例に考えるとわかりやすいのですが、以前は偽札や不衛生な紙幣が溢れかえっていた中国において、それらの問題を一気に解決する電子マネーがあっという間に普及したのに対し、紙幣は綺麗で偽札も実質皆無であった我が国では、特に問題がないが故にそれがなかなか普及しないのと似ています。
またICT技術の発達も労働面から見ると、会社への移動や時間拘束からの解放をもたらすはずなのですが、なかなか進んではいないように見受けられます。
これは現在の労働ルールそのものが、あらかじめ決まっている事務所や工場で何時間働くのかという、仕事の内容や密度よりも「職場での拘束時間」をベースに構成されていることが根本原因ですが、私達自身の意識も働き方改革を口にしながら、慣れ親しんだ拘束時間ベースの考え方から脱却できていないことが大きな要因と考えられ、まさに増田氏の指摘通りだと思います。
意識を変え、旧態依然としたルールを変えていかなければ、新しい風景を見ることはできないのです。

飛び飛びになってしまった話を元に戻しますと、ICTやAIなどの技術がいくら進んでも、その技術を社会全体が受け入れて活かすことが出来なければ、未来を変えていくことは出来ません。
従って「技術が未来をどのように変えていくのか」ではなくて、「技術を活かして私達がどう変わっていくのか」が正確なところでしょう。
またそのための心構え次第で、未来は変わるというところが本質なのだと思います。

話がえらく大袈裟なものになってしまいましたが、私達も現在、プログラミング学習用ロボットであるクムクムを使った、色々な試みを模索しています。
私達はICT技術というものは本来、社会の可能性を広げていくものだと認識しており、今までICTの恩恵を受けることが少なかった人にこそ、積極的に触れて理解し活用してもらいたいと考えています。
その具体的なひとつは、発達障害を持つとされる子供達の学習支援ができないかというものです。
先日、ある特別支援学校の先生とお話しする機会があったのですが、ポロっと「この子たちは、ICTから取り残されているんですよ」とおっしゃておられました。
実際に教育現場へのICT導入は、言われている割には遅々として進んでおらず、来年から始まる小学校でのプログラミング教育ですら具体的なカリキュラムが未定のところも多いのが実情であり、特別支援学校は尚更であるという先生の思いは、正直なところなのだなと思いました。
その一方で海外においても日本においても、発達障害を持った方々がプログラミング業界で活躍される、または積極的に雇用されるケース等について多くの報道がなされており、有為な才能に恵まれた方が多く存在していることを実証しています。
これは大変に素晴らしいことで、技術の進歩が社会の可能性を広げていった好事例であると思うのですが、発達障害を持つとされる子供達や周りの方々が、その才能に早く気付くことが出来れば、更に良い展開になる可能性が高まるものと期待できます。
私達のプログラミング学習用ロボットであるクムクムは見た目も愛らしく、スクラッチで簡単に動かすことができますので、発達障害の子供達の学習にもピッタリだと自負しているのですが、発達障害は医学的にも教育学的にもとても幅が広く奥の深い分野ですので、専門外の私達だけでは全く歯が立ちません。
そこで現在、専門の先生方との研究をスタートさせて、有効な利用方法の開発を模索しています。
具体的な進展があればその都度に報告させていただきますが、ICT技術が社会の可能性を広げていくための、小さくとも確実な一歩になれるよう頑張ってまいります。

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