GIGAスクール構想の現状とスクラッチ起動速度

クムクムによる学校でのプログラミング授業を行うにあたって、まず最低限GIGAスクール構想に基づいて動作するものではないといけない!
1台3万円近いロボットをひとりひとりの生徒に使ってもらうのは、学校予算としてもなかなかハードルが高く、そのために開発をした3Dモデルだが…なかなかこのGIGAスクール構想での動作には苦戦している。

ようやく、何校かのご協力を得て使える状態になってきた。

ここでもう一度GIGAスクール構想を整理し現状を分析した。

 

GIGAスクール構想のベース

そもそもGIGAスクール構想とはいったい何を狙っていていつそんな号令が出たのを調べてみると、2019年12月19日に文部科学省大臣萩生田光一氏の名前で下記のようなメッセージが発信されていた。

以下、文部科学省のホームページに掲載されているメッセージ(PDF)をそのまま抜粋しました。

子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に向けて
~令和時代のスタンダードとしての1人1台端末環境~
≪文部科学大臣メッセージ≫

12 月 13 日に閣議決定された令和元年度補正予算案において、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するための経費が盛り込まれました。

Society 5.0 時代に生きる子供たちにとって、PC 端末は鉛筆やノートと並ぶマストアイテム
す。今や、仕事でも家庭でも、社会のあらゆる場所で ICT の活用が日常のものとなっています。

社会を生き抜く力を育み、子供たちの可能性を広げる場所である学校が、時代に取り残され、
世界からも遅れたままではいられません

1人1台端末環境は、もはや令和の時代における学校の「スタンダード」であり、特別なことではありません。これまでの我が国の 150 年に及ぶ教育実践の蓄積の上に、最先端の ICT教育を取り入れ、これまでの実践と ICTとのベストミックスを図っていくことにより、これからの学校教育は劇的に変わります。

この新たな教育の技術革新は、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びにも寄与するものであり、特別な支援が必要な子供たちの可能性も大きく広げるものです。

また、1人1台端末の整備と併せて、統合型校務支援システムをはじめとした ICT の導入・
運用を加速していくことで、授業準備や成績処理等の負担軽減にも資するものであり、学校に
おける働き方改革にもつなげていきます。

忘れてはならないことは、ICT 環境の整備は手段であり目的ではないということです。子供たちが変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え、持続可能な社会の創り手として、予測不
可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力を一層確実に育成していくことが必要です。その際、子供たちが ICT を適切・安全に使いこなすことができるようネットリテラシーなどの情報活用能力を育成していくことも重要です。

このため、文部科学省としては、1人1台端末環境の整備に加えて、来年度から始まる新学習指導要領を着実に実施していくとともに、現在行われている中央教育審議会における議論も踏まえ、教育課程や教員免許、教職員配置の一体的な制度の見直しや、研修等を通じた教員の ICT 活用指導力の向上、情報モラル教育をはじめとする情報教育の充実など、ハード・ソフトの両面からの教育改革に取り組みます。

今般の補正予算案は、すでに児童生徒3人に1台という地方財政措置で講じた ICT 環境整備に取り組んできた自治体、またこれから着実に整備に取り組もうとする自治体を対象に、1人1台端末とクラウド活用、それらに必要な高速通信ネットワーク環境の実現を目指すものです。

そして、この実現には、各自治体の首長の皆様のリーダーシップが不可欠です。
この機を絶対に逃すことなく、学校・教育委員会のみならず、各自治体の首長、調達・財政・情報担当部局など関係者が一丸となって、子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に取り組んで頂きますよう、心よりお願い申し上げます。

令和元年(2019 年)12 月 19 日
文部科学大臣 萩生田光一

ひとり1台のGIGA端末の導入について

令和元年度から令和5年度までの計画により、家庭でも繋がる通信環境の整備など、災害や感染症の発生等による学校の臨時休業等の緊急時においても、ICTの活用により全ての子供たちの学びを保障できる環境の整備に必要な予算(2,292億円)を計上し取り組みが始まりました。

GIGA端末納入済み自治体数

計画では2023年度が目標だったのですが、それが新型コロナウイルスの感染拡大の影響により20年度に前倒しされれ、文科省が3月に公表した「GIGAスクール構想の実現に向けた ICT環境整備の進捗状況について」(速報値)によれば、全自治体*のうち1769自治体、97.6%が20年度内に各学校用の端末の納品を完了する予定…8月現在はもう少し多くの数の導入が完了していることと思われます。

令和元年度
までに整備済
年内に納品済み
(387自治体等・21.4%)
年度内に納品
(1,359自治体等・75.0%)
4月以降納品
4~8月まで
に納品済
9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
23
(1.3%)
29
(1.6%)
28
(1.5%)
56
(3.1%)
67
(3.7%)
207
(11.4%)
135
(7.5%)
364
(20.1%)
860
(47.5%)
43
(2.4%)

残43自治体(2.4%)が令和3年以降に導入予定

GIGA端末の基本スペック等

導入端末としては「3OS(Windows/Chrome/iPpad)共通仕様に基づく端末」として下記のスペックを基本とし、それぞれの自治体が選定を行った。
利用の基本はブラウザーベースとし、端末の価格は5万円以下とされた。

3OS共通仕様
●無線 IEEE 802.11a/b/g/n/ac以上( LTE通信対応も可 )
●Bluetooth接続でないハードウェアキーボード
●音声接続端子:マイク・ヘッドフォン端子
●外部接続端子:1つ以上
●バッテリ:8時間以上
●重量:1.5kg未満
●タッチパネル対応
●インカメラ/アウトカメラ

端末例

Microsoft Windows
OS:Microsoft Windows 10 Pro CPU: Intel Celeron 同等以上 2016年8月以降に製品化されたもの ストレージ:64GB メモリ:4GB 画面:9~14インチ

Google Chrome OS
OS:Google Chrome OS CPU: Intel Celeron 同等以上 2016年8月以降に製品化されたもの ストレージ:32GB メモリ:4GB 画面:9~14インチ

iPadOS
OS:iPadOS ストレージ:32GB メモリ:4GB 画面:9.7~13インチ

端末導入状況

2020年11月から2021年1月にかけて実施した「GIGAスクール構想実現に向けたICT環境整備調査」、全国1741すべての自治体を対象に、1478自治体が端末の導入状況について回答の結果下記のような状況となっている

順位 OS 導入台数 割合 採用の特長
1位 Chromebook 327万8110台 43.8% 人口密度の高い都市部での採用が多い
2位 iPad 210万7935台 28.2% 小学校低学年や特別支援学級、特別支援学校などキーボードレスでの入力活用を想定するケースでの採用が多い
3位 Windows 210万1357台 28.1% 地方での採用での採用が多い
748万7402台

クラウドサービスの利用状況

順位 クラウドサービス 割合
1位 G Suite for Education 54.4%
2位 Microsoft 365 38.4%
3位 どちらも利用していない 14.8%

端末メーカ(1480自治体対象)

順位 メーカー 割合 備考
1位 Apple 28.1%
2位 Lenovo 20.2% 151万1356台
3位 NEC 14.4% 107万6292
4位 HP 7.0%
5位 Dynabook 6.4%
6位 その他 16.4%
7位 未回答 7.6%

Apple以外はWindowsまたはChromeを搭載しているため、Appleとしての全体の比率は低い。

高速大容量の通信ネットワークについて

GIGAスクール構想では、小・中・特別支援・高等学校における校内LAN環境の整備を支援、各学校から回線を一旦集約してインターネット接続する方法をとっている自治体に対して、学習系ネットワークを学校から直接インターネットへ接続する方式に改めるための整備を支援を行った。

ネットワークスペック

●ケーブルはカテゴリー6A以上
●ハブやルータ、スイッチ類は1Gbpsの普及モデル
●大容量の動画視聴やオンラインテストをストレスなく

インターネット接続状況

接続方法 自治体(1815) 学校(3万2787校)
学校から直接接続 53.5% 40.6%
学校回線を集約接続 40.6% 51.5%
LTEで接続 2.3% 2.9%
その他 2.8% 4.1%
無回答 0.9% 0.9%

実際に回線速度を調査をしてみた

学校向けプログラミング学習システム「クムクムスクール」では、GIGAスクール構想に基づき、学習用のスクラッチはクラウドで動作するもの、そしてロボットは①リアル②3Dバーチャルの選択ができます。

3Dバーチャルは自動全員の端末で自由に動作する便利なものですが、3Dでータであることと、処理にUnityを使用しているため、この2つのロードにどれだけの時間がかかるかがポイントとなっています。

そのため、実際にこの夏休みに京都市左京区にある下鴨中学様の1教室をお借りし40台の同時使用テストを行った。端末はWindowsベースのLENOVO

Fast.comによる回線速度の計測

40台のパソコンにおいてほぼ同時にFast.comに接続をし回線速度を計ってみた。
結果は、最速15MBpsで一番遅いものでは接続できないものも3~4台発生した。
起動できないものは、少し時間を空けた後[F5]再読み込みで動作は可能だったので問題はないと判断。ただ、やはり自宅や会社でのインターネット接続よりは格段に遅い。

スクラッチと3Dロボットの起動時間計測

次に40台同時に弊社のクラウドアプリを起動した。
弊社内での高速インターネットでは約5秒程度ですべての起動し、GIGA構想に合わせた2MBpsに落とした場合40~50秒でが完了。
実際の現場での結果も同じく40~50秒で起動は完了した。ただし、やはり起動できなかった端末も4~5台あり、同じように[F5]の再読み込みで起動したため問題はないと判断した。

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