東京大学大学院工学系研究科 桜井貴康 上席研究員/東京大学名誉教授らの研究グループが研究成果として公開している、**IoT向けシステムを誰でも容易に創造できるオープンプラットフォーム「Leafony(リーフォニー)」**を搭載した教育用デバイス「クムクム」が開発されました。

Leafony(リーフォニー)は、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)分野における研究・教育・試作を目的として設計された、超小型・低消費電力・高い拡張性を兼ね備えたオープンイノベーション・プラットフォームです。従来のIoT開発では、電子回路設計や電源管理、通信方式の選定など、専門知識が必要な工程が多く、初学者にとって高いハードルとなっていました。Leafonyは、そうした課題を解決するために、「誰でも扱えること」「失敗しにくいこと」「学びながら拡張できること」を重視して設計されています。
Leafonyの最大の特長のひとつが、コイン電池でも長時間動作可能な超低消費電力設計です。一般的なIoTデバイスは電源確保が課題となることが多いですが、Leafonyはセンサーの間欠動作や通信制御を最適化することで、乾電池やコイン電池といった身近な電源での運用を可能にしています。これにより、電源ケーブルに縛られない自由な配置や、実環境に近い形でのIoT実験・学習が行えます。
また、Leafonyはモジュール構造を採用しており、CPUボード、通信ボード、センサーボード、アクチュエータボードなどを積み重ねるように組み立てることができます。はんだ付け不要で組み立てられる点も特徴で、電子工作初心者や教育現場でも安心して利用できます。さらに、独自のオリジナルモジュールを設計・作製することも可能で、学習レベルに応じて段階的に高度な開発へと進める柔軟性を持っています。
このLeafonyを搭載した「クムクム」は、IoTの基礎を直感的に学べる教育用デバイスとして工夫されています。クムクムでは、センサーによる情報取得、アクチュエータによる動作制御、通信によるデータ送信といったIoTの基本要素を、実際に手を動かしながら理解できる構成になっています。たとえば、温度や加速度、光量などのセンサー情報を取得し、その結果に応じてLEDを点灯させたり、モーターを動かしたりすることで、「データが現実世界の動きにつながる」感覚を体験できます。
さらに、クムクムは単なる工作キットにとどまらず、IoTシステム全体の考え方を学ぶ教材としても設計されています。センサーで何を測り、どのタイミングで通信し、どのような処理を行うのかといった設計思想を、実例を通して理解できる点は大きな特長です。これにより、将来的にスマートホーム、環境モニタリング、ウェアラブルデバイス、産業用IoTなどへ応用できる基礎力を身につけることができます。
Leafonyおよびクムクムは、研究用途・教育用途・プロトタイピング用途のいずれにも適しており、大学や高専、高校、企業の研修など幅広い現場で活用が期待されています。特に、IoT人材育成が求められる現在において、理論だけでなく「実際に動くものを作る」体験を提供できる点は大きな価値があります。
このように、Leafonyを搭載したクムクムは、超小型・低消費電力・高い拡張性というLeafonyの特長を活かしながら、IoTの基礎から応用までを学べる教育プラットフォームとして位置づけられています。IoTに興味はあるが何から始めればよいかわからない人にとっても、研究者や技術者を目指す人にとっても、学びの入口として非常に有効なデバイスと言えるでしょう。

