2025年7月3日、このたび、長年の願いだった「芸術とのコラボレーション」が、とうとう京都嵯峨美術大学さんとのご縁によってはじまりましました。
江村学長、そしてこの縁を結んでいただいた嵯峨美卒業生&教育後援会会長の木村様(株式会社 TNCブライダルサービス社長)本当にありがとうございます。
美術大学とロボット。この言葉の組み合わせに、ちょっと違和感を覚える方もいるかもしれません。でも、私たちはあえてそこに未来の可能性を見ています。
日々思います。いまや「IT」や「プログラミング」という言葉は、特別な人たちだけが使うものではないと….
ひと昔前のように、ITに詳しい人が「専門家」として扱われる時代はもう終わりです。
スマートフォンを日常的に使い、アプリで生活を便利にし、ネットを通じて人とつながることが当たり前になったいま、ITはあらゆる分野、あらゆる人の生活に自然と入り込んでいます。
私たちはおもいます。ITやプログラミングは「目的」ではなく、何かを実現するための「手段」に過ぎない。AIもロボットも、そのための技術のひとつに過ぎないと。重要なのは、「何のために使うのか」「どんな世界を作りたいのか」という、人の想いと発想です。
その意味で、ITやプログラミングを特別な「学問」や「科目」として切り離して教える時代も、少しずつ終わっていくべきだと感じています。
すべての人がプログラミングをマスターする必要はありませんし、ITを専門的に学ぶことができる人だけが未来を作るわけでもありません。
むしろ、歴史、文学、造形、音楽、文学、建築、そして美術など、これまでITとは縁遠いと思われていた分野にこそ、ITの可能性を融合させることで、まったく新しい未来が見えてくると思えて仕方ありません。
そんな想いから生まれたのが、私たちの教育用ロボット「クムクム」です。
クムクムは、単なるロボットではありません。
プログラミング教育だけのための道具でもないし、もっと自由に、もっと発想豊かに、「何かを表現するための道具」になってほしい。そんな願いが込められています。
今回の嵯峨美さんとの取り組みで、造形、彫刻、染色といった美術の世界で、学生さんたちがこのクムクムに「どんな動きをさせたいか」「どんな形に変えたいか」「どんなアートとして生まれ変わらせたいか」を自由に考てくれることを願っています。そしてそこに正解は求めません。クムクムという小さなロボットが、学生さんたちの手によって変形され、装飾され、想像もつかない動きや表現を見せてくれる。それはきっと、ITやプログラミングの枠を超えた、まったく新しいアートの世界になると思うのです。
技術の時代にこそ、人の想像力が求められています。そして、想像力とはまさに、芸術や美術の本質です。色や形や素材にこだわること、動きや表情を通して感情を表現すること、見た人の心に何かを届けること。これらはまさに、私たちがITやロボットに込めたい想いとつながっています。
これからクムクムは、プログラミング教育の枠を飛び越えて、芸術表現のためのツールとしても進化して欲しい。
そこにどんな未来が待っているかは、まだ誰にもわかっていませんが、今回の嵯峨美術大学さんとの取り組みを皮切りに、分野の枠を超えた挑戦こそが、未来の学びの形を広げてくれるのだということを形にして証明できたら…考えています。
ITやロボットを「教えるもの」から「使いこなすもの」、さらに「表現するもの」「利用するもの」へとシフトさせる。
そんな学びの進化を、クムクムとともに、これからも多くの場所で広げていきたいと思っています。
2025年7月3日 16:00~17:30