小学校プログラミング教育-3「どんなものを」

令和2年2月 文部科学省 小学校プログラミング教育の手引(第三版) の5ページから読み進めています。

そして何より、教師が自らプログラミングを体験することが重要です。「プログラミングは難しそうだ」という印象がもたれがちですが、今日、教育用に開発されたビジュアル型プログラミング言語*4 などの発展・普及により、児童も含めて多くの人々が容易に体験したり活用したりすることができるようになっています。
教師が自ら実際に体験することによって、プログラミングはそれほど難しいものではなくむしろ面白いものだということが実感でき、さらに、授業でこんな使い方ができそうだというアイディアも湧いてくるものと思われます。

教師が簡単に体験できるかどうか?

簡単にサラッと書かれていますが、結構ハードル高いことが書かれていると感じます。
ここでいう ビジュアル型プログラミング言語 は、スクラッチやビスケットといった言語を指示していると思うのですが、これが「容易に体験できる」と書かれています。

確かに、プログラミングを行う道具としては、C言語やBASIC、Pythonなどの専門的なプログラム言語からすると簡単ではあります。スクラッチもビスケットもWEB上で動作させることができるので、座ってそれなりに気合を入れれば画面は開けるようにはなります。
プログラミングについても、それなりに気合を入れて勉強をすれば、他の言語より簡単なので、なんとなく動かすことはできると思われますが….やはりそれなりには集中する時間が必要です。

そして、何より、これらを動かしていったい何を楽しむのか?が大事だと思います。
画面の猫を横に10歩動かして、それが楽しいのか?縦に回転して楽しいのか?
画面上で動く物体で何かを面白く感じるということは非常にハードルが高いような気がしてなりません。

何より、私たちプロでも、スクラッチを広げて何かのプログラムを作り始めるまで結構な時間がかかりました。スクラッチがわかっていても、ビスケットもまたまた理解するまでに時間がかかるだろうなぁと感じます。

やはり、具体的に何かの目的や分かりやすいものがあるとここはぐっと変わります。
例えばマイクロビットでLEDで名前を表示させるとか、mBotのロボットを走らせるとか….画面以外のわかりやすい目的・目標があればとっつきやすいのは確かです!

そういった意味で私たちは人にとってわかりやすい人型のロボット「クムクムロボット」を教材として作ることにいたりました。

小学生に必要な教材のポイント

20世紀においてもっとも影響力の強かったスイスの心理学者「ジャン・ピアジェ」は、知の個体発生としての認知発達と、知の系統発生としての科学史を重ね合わせて考察する発生的認識論(genetic epistemology)を提唱しました。そして、発達心理学者としては、「質問」と「診断」からの臨床的研究の手法を確立し、子どもの言語世界観、因果関係、数や量の概念などの研究を展開し下記のような思考発達段階をまとめています。

年齢 段階 特長
1 0~2 感覚運動段階 感覚と運動が表象を介さずに直接結び付いている時期
2 2~7 前操作段階 他者の視点に立って理解することができず、自己中心性の特徴を持つ。
3 7~12 具体的操作段階 数や量の保存概念が成立し、可逆的操作も行える。
4 12歳以降 形式的操作段階 形式的、抽象的操作が可能になり仮説演繹的思考ができるようになる。

この3段階にあたるところが小学生であり、この段階にどうプログラミングを有効活用するか?が課題となってきます。

より具体的に、より分かりやすく提供できるプログラミング教材…

LEGOの開発

ジャン・ピアジェと共同研究し、彼の発生的認識論英語版に大きな影響を受けピアジェの弟子となったシーモア・パパートは子供たちへのプログラミング教育として「LOGO」というプログラミング言語を開発しました。

そして、スクラッチを生んだMITメディアラボの前身を創設しレゴ社と共同開発をしてログラミングで動くロボットおもちゃ「レゴ・マインドストーム」を開発しました。

子どもたちにとってより理解しやすい教材として、画面の中ヵら飛び出したより具体的な物体であるロボットが教材として作られ、今もLEGOの教材をベースにプログラミング教育を展開している企業も少なくありません。

 

 

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